鑑定士と顔のない依頼人
原題:La migliore offerta
制作年:2013年
制作国:イタリア
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルビア・フークス
T:ぁあー切ないね、これ。
嫌んなっちゃうね。はぁーーーーーーー。
今はそれしか言えない。可哀想すぎて…。
ー暫しトイレブレイク
T:あの歳で恋をしたおぢさんの可愛さといったらなかったのに…だからこそ余計にラストに向かって切なさがこう…出てくるね。
Y:初恋だよね?
T:人間に対してはそうだと思うよ。
裏でどういう計画が練られていたかは一切明かさずに終始主人公にフォーカスし続けたのが、主人公に集中させ感情移入しやすくさせていて
……んもぅ切なさ倍増。
とにかく、このバージル(主人公)の感情に引っ張られて行くね。後味悪いんだけど…。よくできた映画だよね。
Y:よくできたってどういう事?
T:目が離せないってことかな。
いい歳こいたおっさんをちょっとずつステップ踏んで女性にのめり込ませていく様子が上手く描かれていて、説得力があった。
最後の介護施設?に入ったシーンとプラハのシーンは時系列や何が真実か分からなかった。でもそれが良かった。色々な解釈の余地を残して終わるのはやっぱりオシャレ✨
Y:最後まで想像力が試される映画だった。
T:そうそう、クレアはバージルとセックスする必要は無かったんじゃない?もう充分彼の気は惹けていたし、対人恐怖症を理由に断れば彼はきっと手を出さなかったと思うし、それが無くてもあの展開に持っていけたと思う。
そう考えると、どこまでが計画でどこからがクレアの単独行動か分からない。謎が散りばめられていてとても味わい深かったよ。
Y:ベッドシーンが思いの外激しかった。
T:はいはい。
…バージルはきっと最後は介護施設に居たと思う。でも、プラハに本当に行ったのかもしれないし行ってないのかもしれない。
この映画をハッピーエンディングとするならば、
自分 “が” 待っている人がいる
ということかな。それが最初の彼とは一番違うところ。
Y:???
T:愛するひとがいる ということ。
あ、あとあのシーン重要だよね!手袋外してクレアの所に駆けつけるシーン。彼の気持ちの大きな変化を表していたと思う。今までになく取り乱していたしね。
俺、映画って説得力が大事だと思うのよ。
Y:つまり?
T:この映画って、ずっと何十年も女性を毛嫌いしていたおじさんがあの女の人にハマらなかったら成り立たないし、何度か彼女と決別するシーンがあったけど結局彼女の元へ戻るわけで……。
そこって、ご都合主義的な気はするけれど、
「ま、いいか」
と思わせてくれるか、そんなの気にさせずに夢中にさせてくれるってこと。
あとさ、重要なのが原題。
La migliore offerta
って言ってもイタリア語全然分からないんだけど、英題は
The Best Offer
これって邦題と違ってほぼ直訳だと思うのね。
これに大きな意味が込められているよ!!
…きっと。
このタイトルの方が色々と想像を膨らませることができる。
Y:へぇー。よくこんなに語れるね。
T:え、いや、俺テキトーだから。思っていること言っているだけだから間違っているかもしれないし…。
Y:ま、別に評論家じゃないし、人の感想に合ってるも間違ってるも無いと思うし、気にしてたらつまらないじゃぁーーーーん。
T:うん。じゃあ、まあ、この映画はそんな感じ。
この映画のお供 チコリコーヒー